ドラえもんコミックス第33巻より「ハリーのしっぽ」のあらすじをお伝えします。
1910年に観測されたハレー彗星、それをめぐるのび太の先祖のお話です。
のび太家の庭に眠る、先祖代々引き継がれてきたものとは、「うきわ」でした。
その「うきわ」はドラえもんとのび太が過去に置いてきた「うきわ」です。
1910年に何が起きたのか、実際にあったハレー彗星騒動とともにお伝えします。
この記事でわかること
- ドラえもん「ハリーのしっぽ」(コミックス第33巻)あらすじ
- ドラえもん「ハリーのしっぽ」に出てくる「ハレー彗星」をめぐる騒動
Contents
ドラえもんコミックス第33巻「ハリーのしっぽ」(あらすじ)
野比家では、家族みんなで家の中のいらないものを処分しているようです。
片付けをしていると、のび太のうきわがでてきました。
1986年(昭和61年)の野比家
うきわがないと泳げないというのび太に、「もう捨てたら」とドラえもんが言いました。
そんな会話の中、のび太パパが見つけたのは、代々野比家に伝わる巻物です。
のび太パパのおじいさん、つまりのび太のひいおじいさんから伝わるものでした。
巻物に書いてあったこと
その巻物には、こう書かれてありました。
『76年後の1986年、この年に天から大変な災いが降ってくる。
その時、わが子孫は庭の柿の木の根元を掘るべし。生きのびることができる。』です。
1986年が来年と気づいたのび太は、それがなにか気になります。
のび太は、庭の柿の木の根元を掘りたいものの、来年なんだからとドラえもんに止められます。
気になって仕方ないのび太のために、ドラえもんはタイムテレビで、ひいおじいさんの当時の様子を見ることにしました。
1910年(明治43年)小学生ののび吉
柿の木の根元に埋めたのが1910年5月20日
その1週間前に何が起きていたのか、ドラえもんとのび太は見てみることにしました。
76年前の小学生ののび吉が、水をはった桶に顔をつけているところでした。
なかなか顔をあげません。
おぼれてしまうのではと心配していると、のび吉のお母さんがやってきて、のび吉をとめました。
のび吉は「チューブを買えなかったから、息を止めるけいこをしている。」と言うのです。
学校でのうわさ
学校では先生が、じきにやってくるハレー彗星の話をしています。
「ハリーのしっぽに毒が含まれているかもしれない。」
「空気をごそっと持っていってしまうかもしれない。」
「一時的に空気がなくなるかもしれない。」
先生の話に子どもたちはびっくりしています。
タイヤのチューブが命を守る?
のび吉おじいさんは、先生の話から自転車を見て思いつきます。
タイヤのチューブに空気をいれておいて、ハリーがきた時に吸えばいいのだと。
そして自転車のチューブを買いに行きました。
この時代でもいじわるなジャイアンとスネ夫の先祖
買いに行った先では、スネ夫とジャイアンの先祖らしい二人がタイヤのチューブを買い占めていました。
のび吉が買えずに家に戻る様子をみてのび太は思いつきました。
自分のもっているうきわに空気をつめてのび吉おじいさんに届けることにしようと。
ドラえもんとのび太は、タイムマシンでのうきわをそっと置いてきました。
そのうきわを手にしたのび吉おじいさんは、不思議がりますが、それがタイヤのチューブ代わりになることに気づいて喜びます。
ハリーってなにもの?(ここがオチ)
ドラえもんとのび太が今の世界へ戻ろうとした時、空に巨大な彗星が流れました。
ドラえもんが言いました。
「思い出した!1910年といえばハレー彗星が大接近した年だ。」と。
「ハリー」とはハレー彗星のことだったのです。
そして「しっぽ」とは彗星から出るしっぽ(尾)のように長く見えるもののことです。
ココがオチ
のび太がお宝なのでは?と期待していた、柿の木の根元に埋まっていたものは、のび太が過去に持っていった「うきわ」でした。
のび吉おじいさんが子孫にのためにその「うきわ」を残したのです。

1910年(明治43年)「ハレー彗星」をめぐる騒動
1910年のハレー彗星の接近は、世界の各地でいろいろな噂が飛びかいました。
ハレー彗星とは
ハレー彗星の本体は氷の塊です。
太陽に近づくと、その熱で暖められた氷が溶けだしで、ガスやチリを吹き出します。
それが長くのびて見えるので「尾」と呼ばれています。
1910年では、「ハリー」とよんでいました。
ハレー彗星を発見したのがイギリスのハリーという天文学者だったからです。
「ハレー」や「ハーレー」の呼び名から1986年の観測では「ハレー」という呼び名に落ち着いています。
ハレー彗星をめぐる騒動をもとにした小説「空気がなくなる日」
「空気がなくなる日」というのは1947年に発表された岩倉政治著の児童向け小説です。
児童文学雑誌に初出のときは「空気のなくなる日」でした。
このあと、『小学六年生文学読本』に掲載されたときは、文法教育上都合のよい「空気がなくなる日」に変更されました。
それからは2つのタイトルが混在しています。
1949年には映画化(空気の無くなる日)され、1959年にはドラマにもなっています。
ドラえもんの話にもハレー彗星が最も接近する5分間に、空気がなくなることを題材にしています。
「空気がなくなる日」のヒントになった実際にあった騒動
日本では彗星のしっぽ(尾)の中に含まれる水素が空気中の酸素と化合して人類はみな窒息死すると報じる新聞もありました。
空気がなくなるといううわさから、タイヤのチューブや氷ぶくろに空気を入れて保存しておこうと考えたり、その間息を止める練習をしたり、世間はパニックになりました。
そのうわさからこの世の終わりだと自殺者が出たり、全財産を使い果たす人などがいたとされています。
また、欧米各国ではこの世の終りが来るといううわさが飛び交いパニックになりました。
フランスの天文学者の説などを信じて彗星が有毒なガスをだし、それを防ぐためのマスクや携帯用酸素吸入器が売れたといいます。
次回のハレー彗星接近
次回、ハレー彗星の観測ができるのは、前回の1986年から76年後の2061年です。
今から40年後ですが、世の中はどう変わっているでしょうか。
宇宙旅行があたりまえになっているとしたら、地球以外のところからの観測ができるかもしれません。